2015/11/23

Kenji

Kenjiさんは2014年に修士課程を終えた卒業生です。約6年半の政府勤務の後、公費派遣でSAISへ留学しました。1年目をボローニャで、2年目をDCで過ごしました。現在はまた政府で働いています。SAISでの専攻はエネルギー、資源、環境学(ERE)でした。
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恒例のIAEA Ballの前に、ウィーン市長のレセプションにて、日本人の同期と。右がKenji。

簡単に経歴を教えて下さい。

もともと環境に興味がありました。京都に住んでいて、京都議定書の話題なども身近に感じられ、将来は政治家か公務員になろうと思っていました。一橋大学の社会学部に入ったのですが行政法ゼミに参加して、専門は行政法みたいになりました。環境と開発の両立を政策面で進めようと国土交通省に入って6年働いて、その間に河川行政、経済政策などを担当しました。外務省に出向し、南太平洋における経済協力の一環で環境問題を扱ったこともありました。温暖化対策など、太陽光パネルの設置を経済協力で行ったりしましたね。

留学のきっかけは?

中学生の頃、イギリスに短期間いたことがあったり、外務省への出向があったり、その中で海外に行きたいという想いが強くなって来たところでした。政府なので留学制度があり、だったら行こうじゃないか、と。周りは公共政策大学院に留学する向きが多いものの、SAISは大枠では政策系に分類されます。他の政策大学院はよりドメスティックな視点で政策を学ぶのに対して、SAISはどちらかというと国際関係の中で政策を議論してゆきます。日本から留学するとすると、公共政策ではアジアとの政策協力などの視点も重要なので、国際系がいいな、と。SAISで作るネットワークも、そうした視点をシェアする人々が多いので、自然と国際的になります。それも魅力でしたね。

SAISの印象を教えて下さい。

プロフェッショナルな学校という印象ですね。教授、生徒ともに。アカデミックというより実務的なスキルにフォーカスしています。例えばGlobal Eletricity Marketの授業ではエネルギーのポートフォリオに関するポリシーペーパーを書いたし、EREの官民連携(PPP)の授業では環境問題に対応するためにどう民間の力を活かしてゆくか、という観点で実際にファイナンスモデルを構築してプレゼンをしたりしました。周りの学生はエネルギー会社出身、国際機関やNGOで環境に取り組んで来た人、など面白いバックグラウンドの人がいましたね。卒業後は、例えばコンサルや世銀なんかで、またエネルギーや資源関係の仕事に就く人が多い印象です。

ボローニャの印象はどうでしたか。DCと比べてどう違うのでしょうか。

ヨーロッパの雰囲気は全然違います。教授陣、生徒もヨーロッパ系が多いんです。ボローニャだけのプログラムでMAIAなどの学生も一緒にいるんですが、彼らを含めるとやはりヨーロッパ人が多くなります。いろいろなところでヨーロッパの視点を感じましたね。欧州は難民問題や、ロシア関係から直接影響を受けます。ドイツのエネルギー転換にも熱い注目が注がれていました。ロシアの天然ガス供給への依存も重要な論点として議論されましたね。これは授業だけではなくて、その他の機会に関してもです。ボローニャ大学の授業も取れて、同級生はビジネススクールの授業に潜り込んでいました。現地の学生と一緒にパーティをしたりなんてのも。クラスメイトの一人はボローニャ大学のオーケストラに参加していました。

それと、何といってもヨーロッパにいると旅行が出来るんです。ボローニャ空港も近く、そこからどこへでも行けますよ。欧州で開催されるイベントにも参加し易いです。毎年ウィーンでIAEA主催のボウルにSAIS全員で行くのも恒例になっています。バスを何台か仕立てて、ウィーナーワルツを踊りに。食べ物も美味しい。勉強で小腹が空いたらピザをサッと買いに行って、食べて図書館に戻る、とか幸せでした。ヨーロッパの国際機関でインターンする人も多かったですね。人権、環境分野ならヨーロッパも有りだと思います。ウィーンにも幾つかありますしね。

ボローニャ・センターはDCに比べると学生の数が少ない分、授業の数は少ないかも知れませんね。私は1年目に必修科目を詰め込んで、2年目で選択科目でDCの選択科目をたくさん取るようにしました。ボローニャはビッディングがあまりないので、2年目にポイントを温存して、DCで好きな授業を取りやすいかも知れません。外部のスピーカーを招くセミナーにヨーロッパの著名人が来たりするのもボローニャならでは。そういえば、経済の教授はイタリアのレンツィ首相のアドバイザーになりましたが、忙しい中でもSAISの授業を引き続き持ってくれています。ボローニャ・センターはコミュニティが小さく、外に行くとイタリア語しか通じないので、結束力が強いことは間違いありません。DCでチャオなんて挨拶している人はみんなボローニャ出身者ですよ。

卒業後のキャリアにSAISの経験はどう活かせるでしょうか?

語学、それと外国人と折衝するスキル、SAISを通じて得られる人的ネットワークは非常に価値あるものです。今も対外関係の仕事をすることがあります。少し前に、香港に出張がありました。不動産投資に関する監督、規制、制度設計といった内容を海外の投資家に対して説明し、彼らからの声を聞くんです。来月はシンガポールの政府関係者がやってきて、また話をしたりします。そういうところで、やはりSAISの2年間は役立っているな、と思います。ちなみに香港ではSAISの同期がCitibankで働いていて、コーヒーを飲みながら意見交換しました。ネットワークということで言えば、SAIS在学中に話を聞きに行った人、例えばミャンマーについて書いているときにミャンマー大使館の人に話に行きました。同級生や教授だけではなく、そうしたところから出来るネットワークは日本にいては作れませんよね。

SAISを目指す方に何か一言お願いします。

SAISに行けば幅は広がります。仕事も、キャリアも、ネットワークも。これはぜひ経験して欲しいですね。SAISのボローニャ・プログラムは、一粒でDCとボローニャ二度美味しい。これはやらないと。DCで仕事を探す人にはハンディキャップが出来るかも知れませんが、でもそれを補って余りある経験ですよ。
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ボローニャの街には800年前からずっと残されているポルティコ(アーケード)が張り巡らされています。

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