2015/12/07

Ichi

Ichiさんは2015年12月に修士課程を終える在校生です。コンサルティング会社に勤務した後、災害対応を行うNGOで活動、INSEADとSAISでMBAとMAを取得するDual Degreeに取り組んでいます。

ボローニャにてクラスメイトと

簡単に経歴を教えて下さい。

日本の大学で法律を学んだ後、経営コンサルティング会社に勤務し、東北大震災の後に災害対応を行うNGOに参画、その後、フランスとシンガポールにキャンパスのあるINSEADへ留学しました。INSEAD在学中にSAISへ出願し、Dual Degreeプログラム生としてSAISへ来ました。イタリア・ボローニャキャンパスで1学期(半年)とワシントンDCキャンパスで2学期(1年)を過ごして2015年末に卒業予定です。

Dual Degreeにしたのはどうしてですか?

MBAで学ぶことは幅広いビジネスの知識、例えば経営戦略や会計、マーケティング等に関わる内容が主ですが、新興国の経済やビジネス、開発といったテーマを政策面も含めてもう少しフォーカスして勉強してみたいと思うようになりました。それもあって、ビジネススクールに在学中にSAISに出願しました。災害支援には関心があり、東日本大震災、そしてフィリピンの台風や今年のネパールの地震などでは現地で支援活動に従事してきました。人道支援や災害救援も視野に入れつつ、政策や経済について学ぶためSAISに来ました。そういう意味ではINSEADの学びを補完するテーマをSAISで学びたいと思っていました。一方で、過去の卒業生から「Dual Degreeをすると可能性は広がるけれど、それだけにより迷うことになるかも知れない」と言われたことは本当で、それはDual Degreeを始めてから目の当たりにして悩みましたね。

SAISの印象を教えて下さい。経営大学院とはどう違いますか。

ビジネススクールでは多様性のある組織の中で効果的に働き、いかにチームを率いてゆくのかという実践的な訓練を、繰り返しケースディスカッションやグループワークを通して身体に憶えさせるようなところがあります。一方でSAISはよりアカデミックな雰囲気で、論文を読んだり書いたり、より知的な探求ができる場所だと思います。過去に国際関係も経済学も学んだことがなかったのですが、例えば国際関係の理論に関するフレームワークを体系的に学ぶのは初めてで、これは現実の国際社会で起こっている複雑なものごとを理解、分析する中で役に立つように思います。この二つの異なる学びの場を経験出来たというのは価値があったと思います。それとシンクタンクや政策実務者から生の声を聞けるということは、やはりINSEADを含めて経営大学院ではなかなか無いものです。SAISと経営大学院の親和性ということで言うと、SAISは経済、金融を通じたアプローチを各分野、例えば開発学に応用、実践してゆくようなところがあるので、経済の根幹であるビジネスとはやはり切り離せないと思います。また、SAISほどではありませんが、INSEADにも開発や国際協力などの方面に興味のある学生がそれなりにいます。あと、SAISはINSEADと比べると、アメリカの学校だな、というのは感じます。SAISはアメリカの大学の中ではトップクラスの国際性ですが、それでもボローニャキャンパスですらアメリカ人が多く、INSEADのほうが国際性はより豊かだったと思います。先生との距離はINSEADの方が近かったですね。文化の違いによるものかも知れませんが。

今後のキャリアはどんな風に考えていますか?

悩んでいるところですが、ビジネスのアプローチを活かしながら社会的なミッションに取り組んでゆきたいと思っています。今までの経験は医療・ヘルスケア、災害支援分野だったので、やはりそれらの関連する分野でやってゆきたいと思っています。例えば日本の知見、技術をアジアを始め世界で活かすような仕事がしたいですね。NGOで経験したのは、何かことが起こったときにはお金が集まるんです。でも波が終わると下火になることもあり、いかに事業を継続性のあるものにしてゆくのか、そうした課題は非常に重要だと感じました。ビジネススクールで学んだことも、SAISで学んだことも明日、直接的に役立つわけではないのですが、これから国際的な環境の中で仕事をすることに関して自信がつき、長期的に役立つだろうと確信しています。SAISではより大局的に社会的な必要性について俯瞰する視点を得たので、何に取り組むべきか、何を解決したいのか、そうしたことを考える上では貴重な経験が出来たと思います。

SAISを目指す方に何か一言お願いします。

この2年半の間に4ヶ国で学び、様々な国から来た多様なバックグラウンドを持つ同級生たちと一緒に学べたことは楽しく貴重な経験でした。普通の修士の2年間に半年足すだけでこれだけ多くのことを楽しめたのはお買い得な感じがします。Dual Degreeにしたことで就職の幅は確実に広がって、その中から自信を持って自分のやりたいことを選び取ってゆくことができるし、逆に言えば選んでゆく必要があります。また、どんな組織にあっても、国際的な環境でよりスムーズに活躍する大きな自信がつきました。SAISとINSEADのDual Degreeプログラムは始まってから日が浅いですが、このプログラムをする人もかなり増えて来ています。公的な分野と民間の交わりというのは関心の高まって来ているところですよね。これはだんだんと両者の境目が曖昧になって来つつあり、そうした中間のところがより重要な意味を持ちつつあるということなんでしょう。Dual Degreeはそうしたアプローチを実現したい人の助けになるんだろうと思います。選択肢が増えるだけ悩みも増えるかもしれませんが、パブリックとビジネス、両方の分野に関心を持つ方にDual Degreeをお勧めします。


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