2015/11/18

Kenji

Kenjiさんは2015年に国際経済金融学修士課程(MIEF)を終えた卒業生です。約5年半の日本銀行勤務の後、会社派遣でSAISへ留学しました。現在は日本銀行に戻っています。

2014年10月の世銀・IMF年次総会にて

簡単に経歴を教えて下さい。

大学、大学院と経済学を学び、日本銀行に入行しました。日本銀行では、海外経済、金融市場のリサーチを行った後、日本経済の調査を行いました。2014-15年にSAISのMIEFで修士号を取得後、現在は中長期的な視点から、経済・ファイナンスのリサーチを行っています。

留学のきっかけは?

海外経済や金融市場の調査を行う中で、実体経済と金融市場の相互リンケージ、また国と国、地域と地域の間の関係性や、経済ショック、政策のスピルオーバー、コンテージョンなどについて学びたいと思ったのがきっかけです。また、留学を通じて英語力を伸ばすとともに、他の留学生や現地の国際機関の方とのネットワークを作っていきたいと考え、留学を志望しました。

SAIS、特にMIEFプログラムの印象を教えて下さい。

1年間ということもあって、非常にインテンシブです。Summer(7-8月)、Fall(9-12月)、Winter(1月)、Spring(2-4月)、Capstone(5-6月)と、11か月で14科目54Creditを取得する必要があり、正直結構忙しいというのが特徴です。このほかに最大2科目までMAの講義を選択で履修することが可能です。そういえば、Bodnar教授が”Sleep is optional in this program”という迷言を吐いていました。学部レベルの経済学の知識が、入学時点で求められるため、経済系・理系以外の学生は、事前にある程度この分野を勉強していないと、スタートダッシュで躓いてその後ズルズルいき、単位取得に苦労する、といったケースも見られます。

最大のメリットは、1年で経済/ファイナンスの学位が取れるという、米国の大学では数少ない特徴を有しているため、早く社会に出たいという、時間的・金銭的な制約が多い人、そしてSAISの中でも数字に強いといった印象を、あくまで第一印象としてですが、就活の面接官に持たせたいと考えている人には、魅力的かと思います。一方でトレードオフとして、在学中に就職活動やインターンをやりたくても、講義の合間に行わざるを得ないため、Spring Semesterは両立に苦労する人が多々見られました。

プログラムの人数が35人と少ないこともあって、全授業のうち半分くらいがクラス単位、あるいはクラスを半分に割る程度で行われるため、学生間の仲が良くなりやすく、規模的にも中高のクラスに近いイメージである半面、グループワークなどでひとたびひずみが生じてしまうと、その後のキャンパスライフにも影響が出てしまう(笑)といったことも起こるようです。

授業は、履修できるクラスの種類に大きな制約があります。必修8科目、選択必修3科目がメインで、自由選択科目は3科目のみです。が、一方で、MAプログラムのようなBidding制度はなく、基本的に希望した講義は必ず履修することができるというのがメリットです。レベルは、自分の経験から言うと、大学の学部レベルと、大学院の中間くらいかなという感じです。良くも悪くも実証的なので、理論を学ぶというよりは、現実に起こっている事象にどのように当てはめていくか、といった実践的なところが主眼になると思います。

MIEFプログラムの学生はどんな人々でしたか。

まず、私の学んだ2014-15年クラスに関して言うと出身地域という意味では、米国が3割、中国が3割、その他4割といった感じです。男女比はほぼ1:1です。

年齢層としては大きく二極に分かれます。数年の職業経験を積んでから、キャリアアップのために1年間学びに来た人、これは主に欧米系ですね、と、大学を卒業してそのまま進学して、在学中に就職先を探す人、これは中国人に多いと思います、の間には、大きな違いがあり、自然と普段のグループもその2つにわかれている感じです。

MAの方々と比べると、経済にフォーカスしている分数学力が高い半面、少し口下手な気がします。Skill Development Courseや、MA/MIEF混同クラスでディスカッションを行ったりすると、特にその傾向を強く感じます。英語圏外からの留学生が多いというのもその理由の一つかも知れません。GRE/GMATを見ると、MIEFの学生はQuantが高くてVerbalが低いといったこともあるようです。(参考

卒業後のキャリアにSAISの経験はどう活かせるでしょうか?

自分は元々、国際経済や金融を学んで帰国後のリサーチに生かしたい、その中で、国際関係にも手を伸ばしたり、ネットワーク形成を行いたいといった志望動機を持ってSAIS-MIEFを選んだので、学んだことは、DCにおける多くの出会いと合わせて、帰国後の仕事に強く生きているかなと思います。

特に、DCという町は国際機関が集中しており、インターンシップ等を通じて、卒業後にこういったところで働きたいと考えている人には、最適な場所なのではないかと思います。SAISの卒業生は、このような機関で数多く働いているので、内外のネットワークを通じてそういった人たちと接するチャンスに恵まれやすい、というのも、SAISの大きなメリットではないかなと思います。

SAISを目指す方に何か一言お願いします。

卒業後のキャリアとして、ワシントンDC、特に国際機関、世銀や米州開発銀行などを考えている人には、SAISは非常に良い選択だと思います。先にも書きましたが、SAISマフィアというネットワークはこの都市では非常に強く、ブランド力を最大限に活用することができます。もちろん自分自身が動かないと何も始まらないのですが、米国は日本の就活に比べ、ネットワークがものをいうのもまた事実だと思います。

MIEFについていうと、2014年にできたばかりなので今後いろいろ変わっていく可能性はありますが、国際関係というよりはその中でも国際経済や金融といったフィールドについて、将来を考えている人におすすめかと思います。ただ、正直結構ハードかつ濃縮された1年間になると思うので、ある程度卒業後にどんなことがやりたいか、といった方向性がある程度固まっている人にはおすすめですが、そうでなく、国際関係全般を学びながら将来を決めていきたいと考えている場合は、MAプログラムを選んで、夏休みにインターンをやりながら考えていく、といった戦略をとった方がいいかもしれません。

卒業式にてMIEFの同級生たちと


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